鈴木 真二
東京大学 名誉教授
東京大学 未来ビジョン研究センター 特任教授
東京大学 名誉教授
東京大学 未来ビジョン研究センター 特任教授
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は、わが国における無人航空機産業の健全な発展に貢献することを目的として、2014年7月に設立されました。その後、2021年7月には事業のスコープを、空飛ぶクルマ等を含む「次世代移動体システム(AMS)」に拡大しました。
JUIDAでは、AMSに関わる国内・海外の最新動向や課題をニュースレターやセミナー等で情報周知活動を行うほか、安全な運航ルールやマナーを定めた安全ガイドラインの策定、JUIDA認定スクール制度におけるJUIDA操縦技能証明とJUIDA安全運航管理者証明の交付等、無人航空機の運航に関わる安全対策・人材教育に注力しており、このための政府との対話、政府への提言も積極的に行っております。
JUIDAの会員には、AMSに関わる国内外のさまざまな分野の企業や個人のほか、研究機関、大学、関係府省、地方自治体の方にも入会いただいております。ここ数年は、異業種からの入会も多くなり、法人、個人含めて、会員数は毎年拡大しています。
2016年からは、毎年、JUIDA主催の『Japan Drone』展を幕張メッセにて開催。2022年からは、『次世代エアモビリティEXPO』を同時開催しており、国内で唯一のAMSの単独展示会として産業振興に大きな役割を果たしています。2022年12月には、初の地方展「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)」を開催いたしました。今後も本展示会の地方開催および全国に広がるJUIDA認定スクールとの連携等により、地方創生活動にも積極的に関わって参ります。
JUIDAは、国内での活動に留まらず、設立直後から、海外の無人航空機関連の団体とMOUを締結し、海外展示会・セミナーへの参加、海外視察団の派遣および海外視察団の受け入れ、英文ニュースレターの配信等を通じて、様々な情報交換をしています。今後とも海外のAMS関連団体との連携強化を更に進めて参ります。
また、2017年、JUIDAは無人航空機の操縦訓練に関する世界共通の規格をISOに提案して、2021年発行に至りました(ISO23665)。無人航空機にかかわるISO国際規格で、日本提案が発行に至ったのは初めてのこととなります。現在、JUIDAはISO/TC20/SC16/WG3の国内審議団体として、国際標準化活動に貢献しております。
2020年4月には、AMSの技術・研究開発を支援するために、オンライン技術論文集「Technical Journal of Advanced Mobility / 次世代移動体技術誌」を創刊しました。UAS(無人航空機)、UAM(空飛ぶクルマ)、AAM(次世代エアモビリティ)に関する高度な技術集積媒体として、あらゆる領域の研究成果を広く世に公開しており、アクセス数も月1000件に到達しました。
現在、最も重視している活動分野が、災害時における無人航空機の利活用です。これまで陸上自衛隊東部方面隊と2019年2月に「大規模災害発生時における災害応援協定」を締結し、合同訓練、被災地への出動を行ってきました。本年1月1日に発生した能登半島地震につきましては、被災地自治体からの要請、また、陸上自衛隊第10師団との「災害時応援に関する協定」に基づき、危機管理責任者を現地に派遣し、協力企業とともに被災者捜索、薬品配送、被災状況空撮、ドローンポートを利用した土砂ダムの定期監視等幅広い活動を長期間にわたって続けております。災害時に、これだけの規模で無人航空機をシステマティックに運用したことは国内において初めてのことであります。
わが国では、急速に進む少子高齢化により労働力減少、成長力低下、市場縮小、豊かさの低下が重大な国家の課題となっています。こうした社会課題に対して、政府・地方自治体、民間が協力して、スーパーシティ・デジタル田園都市構想が進められていますが、この構想の中で、無人航空機を含むAMSは不可欠のツールであります。
こうした中、2022年12月5日に改正航空法が施行され、ドローンなどの無人航空機が、有人地帯での補助者なし目視外飛行、いわゆるレベル4飛行が制度上、可能となりました。これは、日本国内において、無人航空機を用いた様々な事業が新たな時代に入ることを意味し、世界でも画期的な出来事であると認識しています。
こうした動きを背景に、JUIDAはこれまでの認定スクール制度は維持しつつ、新たにスタートした登録講習機関を希望するスクールに対する支援も行っております。同時に、登録講習機関等監査実施団体としても重要な責務を担うこととなりました。みなさまの空の利活用がさらに広がり、新たな産業が振興し、社会の課題解決に貢献できますよう、引き続き取り組みを進めて参ります。
JUIDA認定スクールでは、無人航空産業の健全な発展のために、無人航空機運航上の安全に関わる知識と、高い操縦技能を有する人材の養成を行っています。全国200校以上から操縦士を輩出するなど、今やドローン産業を牽引する存在です。また、無人航空機の研究開発支援、人材育成のサポートを目的として、JUIDA試験飛行場を開設。茨城県(つくば)、埼玉県(大宮)、栃木県(那須塩原)などにあり、多くの方々にご利用いただいています。
JUIDAでは、ドローンに特化した日本最大の国際展示会&コンファレンスであるJapan Droneをはじめとして、年間を通じて様々なイベントやセミナーの主催、展示会への出展や講演、あるいは後援・協力といった形でのサポートなどを行っています。
JUIDAは、設立時から第一のミッションとして無人航空機の安全ガイドラインの策定を掲げており、これまで以下のガイドラインを発表してきました。
今後も、産業や技術の変化に対応するために必要なルール作りについて、積極的に活動していきます。また2019年2月、日本の無人航空機業界団体としては初めて陸上自衛隊東部方面隊と「大規模災害発生時における災害応援に関する規定」を締結したことを皮切りに、防災や災害現場での無人航空機の利活用を通して、社会貢献活動を進めています。
JUIDAは、世界各国の団体とMOU(協力協定)を締結し、海外のドローン・空飛ぶクルマ等関連団体と連携しています。MOU規格により強固なパートナーシップを築き、情報収集やビジネスマッチング等、国内のみならず会員様の活動の幅が広がるようなサポートを強化しています。また、国際標準化活動では、日本のドローン産業のグローバルにおける地位確立を目的として、無人航空機の検討委員会であるISO/TC20/SC16に参加し、日本初の規格発行を積極的に進めています。